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「岡山から世界へ」オンリーワンの機械メーカー

モリマシナリー株式会社 美作工場 取締役 成形機事業部長
安井和基
モリマシナリー株式会社の安井さんにお話を聞きました。
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1モリマシナリーと、成形機事業部について
丸尾 |
改めてモリマシナリー株式会社はどのような会社か教えていただけますか? |
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安井 |
弊社は1948年、岡山県美作市にて鉱山用の鉱車やレンガ用の金型を生産する鉄工所を創業したことから始まりました。今年で創業76周年(※取材当時)を迎え、社員数は現在約420名です。2007年には本社を美作市から赤磐市へ移転し、現在は本社工場、美作工場、岡山工場で多種多様な精密機械や精密部品を製造している機械メーカーです。
取引先企業は、国内外を含め1,700社を超え、国内トップシェアを誇る製品も生産しております。コロナ禍の前までは売上の約65%が輸出案件でしたので、展示会などで「岡山から世界へ」と掲げています。 |
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丸尾 |
安井さんは入社から36年、成形機事業部一筋だと伺いました。安井取締役が所属されている美作工場の成形機事業部では、どのような機械を作られているのでしょうか? |
安井 |
成形機事業部は、多種多様な材質の金属を成形する「成形機」や、パイプを製造する「造管機」などを設計・製造しています。現在までに国内外の取引先へ約800台の機械を納品しました。中型以上の機械は全長が100mを超える製品もあり、製品単価も数億円となるため、営業担当者や設計者、製造者など緊張感を持ちチーム一丸で仕事に挑んでいます。 |
丸尾 |
全長100mを超える機械とは!かなり大きいですね!?(驚) |
安井 |
ビルの柱を作るための建築の大きな製品を製造する機械から、自動車のマフラーやラジエーター、電気自動車の燃料電池、また注射針のような細い製品を作る機械までさまざまな製品を手がけています。
成形機事業部は、事業開始から70年ほどの歴史があるんです。それほどの歴史がある成形機・造管機メーカーは、世界的にも数えるほどしかないと言われており、長年のノウハウや実績が蓄積されています。 |
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270年の歴史で蓄積された高精度を生み出す技術
丸尾 |
国内トップシェアの製品について教えていだけますか? |
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安井 |
某大手自動車メーカーのマフラーは、ほぼ100%弊社の機械で製造されています。また、別の某大手自動車メーカーでは、ラジエーター装置の部品製造に関して、ほぼ100%弊社の機械を導入していただいております。 |
丸尾 |
どんなところに強みがあるのでしょうか? |
安井 |
精密な加工を求められる機械製造を得意としています。例えば、食品を作る機械で使用されるパイプの製造も手がけているのですが、パイプの製造過程で、スパッターと言われる溶接作業に伴う金属の粒がどうしてもできてしまうんです。
外側は簡単に削り取ることができるのですが、パイプの内側まで綺麗に削り取るには、高度な技術が必要とされています。もし除去残しがあると、食品製造の過程でそこに食品が滞り、腐敗してしまう。そうなると、異物混入などの問題を発生させてしまう原因となります。そのような異物が滞るようなデコボコを除去し、内側まで精密でクリーンなパイプを製造できる精度の高い技術を取引先から高く評価されています。
高度な精密さで言うと、注射針の元となる外径4㎜のステンレスパイプを製造する機械も製造しています。現在、発展途上国でも一人につき一本の注射器を使用するようになり、精密な注射針を製造できる技術が世界的に求められている印象です。 |
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3設計から営業への転身を経て身についたもの
丸尾 |
安井取締役は44歳で成形機事業部長、56歳で取締役に就任されています。入社されてからどのような経歴だったのでしょうか? |
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安井 |
私は、九州の工業系の大学を卒業後、新卒で入社しました。入社後は機械の組立を担当していましたが、3ヶ月ほど経った頃、「設計者が足りない」と聞き、当時設計者希望だった私は自ら手を挙げて異動させてもらいました。
そこから3年間設計を担当しましたが、大学での学びとの違いやレベルの高さに圧倒され続ける毎日でした。「設計者としてこれ以上は無理かもしれない・・」と思っていた頃に、今度は「営業担当者が足りない」との情報が入ってきましたので、また自ら手を挙げて営業の道に進むことにしたんです。 |
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丸尾 |
設計者から営業担当者への転向は、ハードルが高くありませんでしたか? |
安井 |
それが、今として思えば、設計者時代の3年間で自社の製品について広く浅く携わったことで、成形機事業部の営業に必要な技術的基礎知識が身についていたんです。10年間東京営業所に勤務し、その後、美作工場に帰ってきてからも引き続き営業を担当し、44歳の時に事業部長を拝命したという流れです。 |
丸尾 |
安井取締役は、お生まれはどちらですか? |
安井 |
生まれも育ちも津山市です。中学時代からバレーボールを始め、高校、大学、社会人の25歳まで現役でした。高校と社会人時代には、全国大会へ出場した経験もあります。 |
丸尾 |
バレーボールで全国大会!?(驚) |
安井 |
高校は、津山工業高校のバレー科でした(笑)。 |
丸尾 |
バレー科!? |
安井 |
・・と言うくらい、朝も昼も放課後もバレーボールの練習がありました。 本当は機械科です(笑)。
当時は鶴山公園の石段をうさぎ跳びしていた(させられていた)「スパルタな時代」でした。その中で育ってきたので、追いむこと(追い込まれること)や目上の人に対する心配り・気配りなどの上下関係はかなり学んだと思います。 |
丸尾 |
そのようなスパルタな学生時代を過ごされたのに、安井取締役は柔らかい雰囲気ですよね。 |
安井 |
大学のバレー部では監督の指導方針が、“自立”に重きを置かれていたんです。一律に厳しくではなく、チームのために一人ひとりが自ら考えるスタイルでした。私は1年生からレギュラーを任されていましたし、やる気にも満ちていましたので他のメンバーも巻き込んでいたつもりだったのですが、あまり練習しないメンバーもいて・・。
周りのみんなとの温度差を感じて、半年ほど部活を休んだんです。それでもバレーを続けたくて復帰したのですが、上級生から復帰の条件として「1年生の仕事を全部やれ!」と言われまして。当時2年生になっていましたが、誰よりも早く体育館に行ってネットを張ったり、床の掃除をしたりして、徐々に周囲を巻き込む力を身につけて行ったように思います。 |
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4社員全員を巻き込み、強い組織をつくる
丸尾 |
安井取締役は、成形機事業部をどのような組織にしていきたいとお考えでしょうか? |
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安井 |
成形機事業部は、現在、10年以上連続黒字を継続中です。今後も、会社全体を牽引する部署でありたいと強い想いを持っています。ただ、私一人がその強い想いを持っていても組織は成り立ちませんので、社員全員を巻き込んで、強い組織を作っていきたいと思っています。 |
丸尾 |
強い組織づくりのために、どのようなことに取り組まれていますか? |
安井 |
ベテラン社員から発信するコミュニケーションを強化しています。若手社員が何かに悩んでいたり困ったりしている様子だったら、ベテラン社員が積極的に声かけをするようなチームづくりをしています。
また、近年は働きやすい環境づくりにも力を入れております。夏場の工場内はかなり過酷な環境にありましたが、現在は屋根に遮熱塗装処理を施し、冷房を導入したことで以前より快適に仕事ができています。 |
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5「なせば成る、なさねば成らぬ」
丸尾 |
安井取締役の仕事人生の中で、一番面白かった体験はどんなことでしょうか? |
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安井 |
入社直後の設計を担当していた時です。設計を担当した機械の納品先が、スペインだと耳にしました。私は、設計が終われば自分の仕事は終わりと思っていたのですが、「現地で機械を設置して現地の方に使用方法を説明するまでが、設計者の仕事だ」と言われたんです。
私は英語が全くしゃべれなかったので、すぐに英和辞典と和英辞典を買いに走り、作りたてのパスポートを手にスペインへ渡りました。ただ、現地の方は限られた時間で機械の使い方をマスターしようと、懸命に聞いてくれるんです。図面を見ながら、片言の英単語で必死に説明すれば伝わるという体験は、なんとも言えない達成感といいますか、大きな喜びを感じました。 |
丸尾 |
最後に、安井取締役が大切にされている言葉を教えてください。 |
安井 |
「為せば成る、為さねば成らぬ、何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」です。 令和の今、精神論は通用しないかも知れませんが、「どんなこともでもやろうと思って努力すれば、必ず実現できる。逆に、無理だと思ってあきらめ努力をしなければ、絶対に実現できない」。それは、仕事において今も昔も変わらないことだと実感しています。 |
「岡山から世界へ」オンリーワンの機械メーカー
モリマシナリー株式会社
1948年岡山県美作市にて創業。2007年本社を美作市より赤磐市へ移転。冷間ロール成形機・造管機、形鋼・パイプ成形用ロール金型、自動車用部品等の開発・設計・製造・販売など、多種多様の精密機械・精密部品を手がける機械メーカー。国内トップシェアの製品も多数あり、国内外1700社以上の企業に製品を納入している。
お話し聞かせていただきありがとうございました!長年、成形機事業部一筋に歩まれた安井取締役のお話から、ものづくりへの熱い想いや、業界トップランナーとしてのプライドを強く感じました。「岡山から世界へ」まさにこの地域から世界を相手に強みのある製品を生み出していくモリマシナリーの成形機事業部。私たちの身の回りに当たり前にある製品をつくる機械がここでつくられていることに驚き、大変興味深く聞かせていただきました。安井さんは、この地域からものづくり業界を変えるかえーる人でした!
- 取材日:2024年10月17日
- 撮影地:モリマシナリー株式会社 美作工場(岡山県美作市)