和田優輝

建築関係が主で、地域づくりや、企業のブランディング、観光振興なども行っています。
いろいろな団体ともコラボして活動をしています。

クライアント企業さまの移転に伴い、吉備中央町の廃校の跡地を利用して工房をつくったんですけど、場所を見つけるところから、ご提案をしました。
“クライアントさんの方向性”と“私たちの地域とつなげる目線”がマッチして、グッドデザイン賞を頂くことができました。

そうですね。普段は家づくりが8割くらいですね。2割くらいが店舗さん等です。

津山に来て、お客様と接するうえで必要だと思い取得しました。家を建てるとなると、建築だけではなく、お金や土地の事も関係してきます。お客さんの悩みは広く、御長男の方ですと受け継いだ土地をどうすればよいか？など・・・設計士であるとともに、お客様のパートナーとしてどんな質問が来ても対応できるようにしています。

高校の時に、これから生涯にわたって関われる仕事をしたいと思いました。そんな仕事ってどんな仕事だろう？と考えたときに『建築』は高校生の私には理解しやすかったのでしょう。また当時は地球環境などのキーワードにスポットが当たっていました。手先が器用だったこともあり、環境に関わる仕事ということで建築に進んだんです。

東京都の練馬区、住宅街ですね。そこで完全に街中の子として、学生時代まで育ちました。
東京以外の場所といったら、夏休みにたまに旅行にいくだけという感じでした。

そうです。親戚も東京や埼玉等近郊にいたので、小学校の時夏休みの作文を書くにしても“田舎のおじいちゃん家に行きました”の記憶がほとんどないんです。みんなが“飛行機なんかで田舎にいってきました”、みたいな話がすごくうらやましかったですね(笑)でも、すごく遠い親戚が長野にいたんです。1回しか行ったことないですけど。その記憶は強く残っています。
それと年に1回、父親が山登りとか好きだったので、連れて行ってもらった時の記憶は鮮明に残っていて、今から考えると、“田舎への憧れ”はそこからつくられていると思っています。

大学院を卒業してから、大阪で設計会社に勤めていました。全国規模の会社だったので、大阪に配属になったんです。

はい。でも実は、そのころは今とは全く違って、駅前の設計等の都市計画に携わっていました。
プロジェクトの総期間でいうと10年以上とかです。市のマニフェストなどに直結する仕事でした。
商業施設、マンション等、今とは全く違うジャンルの設計をしていましたね。

都市計画は、行政や、市民の方が、何を求めているかを起点として、地域づくりのやり方、ハードに落とし込む方法や、法律などもかかわってきます。今はそれを活かして、一人一人のお客さんの家をつくることにとことん向き合っています。他の設計士さんとは経歴がちがいますが、『世の中で気持ちよくくらす』ことに関しては、いろんな部分で以前の仕事とはつながっています。

妻がここにいたから(笑)です。出会いは東京時代ですがその話はオイオイ・・・お酒でも飲みながら(笑)
大阪で設計士をしていたころは、勤務時間も長く、帰宅が24時を回ることも多かったため、家族で過ごす時間が取れなかったです。妻も、東京都と津山には昔ながらの友達もいたのですが、大阪にはあまりつながりもなかったため妻と話をして、妻の実家のある津山に移ることにしました。
私自身も独立したいと思っていたこともあり。いろんなタイミングが重なったんです。

町並みは暗くて見えなかったです(笑)本当に！私は都市部の事しか知らなかったので。東京や大阪を中心に世の中を見ていました。でも、街灯がなくて何も見えなかったり、タヌキが出てきたり。驚きもあり、そして楽しくてしょうがなかったです(笑)もともと ペーパードライバーの私から見ると生活スタイルは激変でしたね。

仕事の面では、もともとはコンクリートの建築物をつくっていたのが、木造で仕事をするようになり技術的な面も違いますし、なにより職人さんやお客さんと直に接するようになりました。
今まで“何百人”対“何千人”の会社同士のやり取りの一部として働く環境だったのが、まったく違い、やりがいがすごくあります。

思いをお客さんに直接聞いたり、直接お客さんに思いを伝えることができます。つくり手としても、一ビジネスマンとしても、すごくありがたい経験ですね。お客様が“こうしたい”は以前の大阪の仕事では3人は間に人が入っていました。なので本当にそれがしたいのかは推測になるんです。こちらから提案を出す時も人経由でしたから。今は規模も小さくすることで、直接の関係が築けるということが、最大のやりがいです。

それに、そこからしか見えてこないこともあります。

誰か経由できたことは、頭で考えるしかないんですよね。『こっちの案のほうがよいと思う』と言う話も、なんでそうなんだ？と思っても、クライアントが言っているから『かもしれない』『だと思う』になります。今は、目の前で御夫婦が、言い争ってみたり、「私はこっちがいい。」「いいやこっちがいい」とかそういった話を自分がどうくみ取るか。目の前でプチ夫婦喧嘩が始まることもありますが (笑) 人と向き合うことで、この方たちが一生涯暮らす家をどうしたらよいか？それを真剣に考えることができています。そして次は、提案するので、提案する力も試されます。そういう立場に自分を置けていることがすごく良い経験です。

そうですね、実際は必ずしも起業を目指していなくて、少しでも地域や身近な暮らしの事を自分事として考えるきっかけになればと思い、地元内外の有志のメンバーと共同で主催しています。そもそもは２年前、高倉地区の自治組織が講師を呼んで活動をされていました。
地域活性には興味がありましたし、地域をよくしていくことは常に考えていました。そこに行ってみると20代から40代の人が自分がしたいことを発表するのを、地域の方が聞いていました。面白いなと思って、それか街づくりなどもやってきた関係から、提案などをどんどん発言させてもらいました。すると地域の方の協力でいろいろな活動をさせていただくことになりました。

子育て環境、生活環境の素晴らしさです。自分自身が津山に来て暮らしのフィールドを広げていくのと同じように子供も育っていく。春であれば、つくしなんかも生えていますし、野山に上らせて泥だらけになる。そんな経験は、私自身東京でほとんどできなかったことです。私は感性に関わる仕事をしていますので考えるのですが、感性は若いうちにしか育まれないと思っています。年をとっても頭はでっかくできますけど。
そういった季節などをできるだけ感じさせてあげたいという、親ごころもあります。

これは自分に向けてでもありますが・・・。人任せではなく自分でやることが大事だと思っています。
特に地域づくりをしていると感じるのが、「○○をしてくれたらよくなるのに」「○○がないからできない」という発言がどの地域でも多いと感じます。お任せ主義というのでしょうか？私も含め。
人と関わりながら、自分ができることをすすんでやる。特に地域であれば、自分ができることは沢山あると思います。内側から世の中に対するかかわり方が変わってくれば、もっともっと楽しくなる。それを日ごろから考えています。