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山を守り育てる、循環型の林業

うじひら木材産業株式会社 代表取締役

氏平 雄人

真庭市

うじひら木材産業株式会社の代表取締役 氏平雄人さんにお話を聞きました。

 

#循環型林業

#山林管理

#木を生かした商品開発

#事業承継

#後継者不足

 

 

 

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自社所有林から原木を切り出す

丸尾

うじひら木材産業はどのような会社でしょうか?

氏平

メインは林業の会社です。「山から木を切って売る」というシンプルな仕事ですね。また、「山林の買い取り」もしています。自社の所有林があるので、自分たちのペースでいろいろな仕事ができるのが強みです。

丸尾

どのような種類の木を扱っているのですか?

氏平

需要の高いヒノキとスギがメインですね。その他のクヌギやナラなどは雑木と呼ばれます。

 

製材所向けの丸太以外にも用途としては、バイオマス発電用のチップやシイタケのほだ木、キャンプ用の木材などがあります。クヌギやナラなども最近は家具に使われるなど、需要が高まっていますが、今のところ薪ストーブ用の薪に使うのが一番多いですね。

木を切った後は植林で循環させる

丸尾

所有林はどの辺りのエリアにあるのですか?

氏平

津山や真庭などの岡山県北全体と、県南にも一部あります。山林買取の問い合わせはたくさん来ますよ。

丸尾

実際に山を買い取られるのですね!?

氏平

買い取らないとほったらかしになってしまいますからね。たとえ自分に関係ない場所の山林でも、こういった仕事をしているんだから、きちんと管理してあげたいという思いもあります。

 

他の木材会社と違うのは、木を切った後はまた植えるという点です。うちは木を間引く「間伐(かんばつ)」ではなく、区画内の木を全部切ってしまう「皆伐(かいばつ)」の手法を採っているので、切ったらまた苗木を植えて循環させています。

丸尾

木を切り取った後にまた植えたものは、育つまでにはどれくらいかかるのでしょうか?

氏平

50年はかかります。これまでは自社の持ち出しで植林していたんですが、最近はだんだんと行政からの植林に関する補助も出てきています。

木の良さを肌で感じる商品たち

丸尾

うじひら木材産業では他にも林業から派生したさまざまな事業を展開していらっしゃいます。例えば「BOKU」という自社ブランドを立ち上げていますが、どのような商品があるのでしょうか?

氏平

まな板や肩たたき、薪、キャンプ用の木材などがあります。メインで売り出しているのはホオノキのまな板です。

 

ヒノキなどのまな板は堅くて包丁の刃が傷みやすいのですが、ホオノキは昔から日本刀の鞘に使われるくらい刃物との相性がいい木材です。油分があって撥水性も優れています。

丸尾

おしゃれなデザインで格好いいですね。この商品を作るに至ったきっかけは何ですか?

氏平

もともとは知人がこれを扱っていたんですが、なかなか売れないと悩んでいました。まな板としてはイチョウなどの方が有名ですからね。でも本当に良い商品だったので、何とかして世に広げたいと思い、頑張って売り出しているところです。

丸尾

最近は利便性を追求した製品が多い中、あえてアナログ感や木の手触りがきちんとあるようなものはよいですよね。

氏平

やはり木の良さを感じてほしいという思いはありますね。商品を考えるときは周りからのアイデアにもすごく助けられています。

後継者不足の地域事業を引き継ぎ展開

丸尾

最近は勝山木材ふれあい会館に併設された「KIKORU」というお店も経営されていますが、そちらはどのような経緯で始められたんですか?

氏平

勝山木材ふれあい会館は、真庭木材事業協同組合が運営する施設で、もともと他のクレープ屋が入っていました。そこが閉店することになり、「施設への集客のために何かできないか?」という話が出ていたんです。

 

そこで業界のために少しでも役に立てればと思い、うじひら木材が手を挙げてクレープやジェラートの店を開くことになりました。軽い気持ちで引き受けたんですが、まさかこんなに大変だとは(笑)。今は少し落ち着きましたけどね。

 

お店で提供しているクレープやジェラートには地元産の食材を活用しています。メニュー開発では香川県にある有名なジェラート屋さんに協力してもらいました。

丸尾

お店の建物も木を基調とされていますね。

氏平

良い木材をふんだんに使っていますよ。真庭でとれた良質なヒノキの一枚板をカウンターにしていますし、壁の板も真庭産です。

丸尾

ほかにもゴルフの練習場も運営されています。こちらは事業承継で引き継がれたそうですが。

氏平

はい。もともとゴルフが好きでその練習場に通っていて、その縁でやってみないかと声をかけてもらいました。銀行とも相談し、M&Aという形で引き継ぎました。

丸尾

この地域でも跡継ぎ不足は問題になっていますが、このように事業を引き継がれていくことについて考えられていることはありますか?

氏平

もちろん何か役に立てればとは思っています。でも立派な考えがあるというよりは、相談を受けて「おもしろいと思ったらやってみよう!」という感じですかね。

丸尾

これからも新しく広げていく予定の事業は何かありますか?

氏平

ゴルフ練習場の敷地内に、屋外プライベートサウナを開く予定です。2024年の1~2月ごろのオープンを目指しています。

 

もともとは薪割りで大量に出る木くずをどうにか有効活用できないかと考えたのが発端で、そこからいろいろと話がつながっていきました。

森林資源を生かし、地域に還元できる事業を

丸尾

今後やってみたいことや会社のビジョンをお聞かせください。

氏平

まず山の仕事はずっとやっていきたいです。その上で、M&Aなども活用しつつ、ゴルフ練習場などの事業も広げていければと考えています。

 

クレープ屋の事業拡大も見据えていろいろ構想しているところです。うまく仕組みを作れれば、商業施設などにも店舗を増やしていけるチャンスは大きいですからね。

丸尾

最後に、日ごろから大切にされている言葉はありますか?

氏平

「三方よし」です。社員・地域・お客さまの各方面に良い影響がある状態が理想ですね。

 

働く上で、うじひら木材は就業時間や休日の融通が利きやすいのが一番のメリットです。木を切りにいく日程は調整しながら、できる限りストレスなく働けるようにしています。

 

また、林業は地域に根差している仕事なので、木を切るためには地元の方と密に付き合っていかなければなりません。山林という地域の資源を生かしながら、地域に還元できるような仕事をしていきたいですね。

山を守り育てる、循環型の林業

うじひら木材産業株式会社

2013年創業。原木を切り出して製材向けに販売する林業部門の他、クレープやジェラートを提供する「KIKORU」の経営やゴルフ練習場の運営など、幅広く事業を展開。山林や木の所有者から買い取りの相談も受け付け、伐採後の植樹を通して森林の適正な管理につなげている。

お話聞かせていただきありがとうございました!なかなか管理が行き届かない地域の山林を買い取り、循環型で林業を行われており、地域に根ざした事業だと強く感じました。

また、後継者不足の事業などを引き継がれて展開されており、地域や業界のために「やってみよう!」と言われる氏平さんの行動力を強く感じました。林業をはじめ、さまざまな地域事業を広げられていくことを楽しみにしています。氏平さんは、循環型林業から地域を変えていく、東京からUターンのかえーる人でした。

 

【さらに編集後記】

氏平社長じきじきにクレープも焼いていただき、美味しくいただきました!ありがとうございました!

 

地元産の食材を使用したスイーツメニューは、おしゃれで魅力的でした!

 

  • 取材日:2023年11月16日
  • 撮影地:うじひら木材産業株式会社、木こりのクレープ&ジェラート店「KIKORU」(岡山県真庭市)
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