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真庭を起点に、地域のライフサポートを
東真産業株式会社 取締役
廣岡 宣行
東真産業株式会社の取締役 廣岡宣行さんにお話を聞きました。
#新事業づくり
#多角化
#組織風土づくり
#農業
#地域にひとを呼び込む
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1カーライフとホームライフを幅広くサポート
丸尾 |
「東真産業」とは、あらためてどのような企業でしょうか? |
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廣岡 |
「地域のライフサポート企業」という言い方をさせてもらっています。 大きくわけて「カーライフ」と「ホームライフ」という2つの領域があります。
カーライフの方では、現在ガソリンスタンドを岡山県内で13カ所、レンタカー事業を県内外で23店舗展開しています。車にまつわる損害保険や、車検整備工場、洗車コーティングの専門店など車にかかわる多岐にわたるサービスを行なっています。
ホームライフの方ではガス供給ですとか、保険もありますし、水の宅配、あとは家電文具販売などもやっていたりします。また、直近では、新規事業としてぶどう農園がスタートしています。 |
丸尾 |
ぶどうっ!?農業ですね! |
廣岡 |
一次産業ですし、よく驚かれますよね。 「えっ!?ぶどう?」みたいな。5、6年前からスタートしています。 |
丸尾 |
経緯としてはどのように始まったのでしょうか? |
廣岡 |
もともと、ここ真庭の北房という地域が、ぶどう生産にすごく適した気候・土壌であるにも関わらず、後継者不足ですとか高齢化でやめられている方々がどんどん増えてきたところでした。そのタイミングで「やってくれないか?」というお声掛けをいただきました。
始めは採算度外視だったと思うんですけど、「地域のためになるなら!」とまずやってみようという形がスタートだったと聞いています。現在では、EC(インターネット販売)やふるさと納税などでの販売が伸びて、ありがたいことに事業としては軌道に乗ってきました。 |
花笑み農園のウェブサイト https://hanaemi.raku-uru.jp/ |
2地域に車がまだ2台の時代、給油所として創業
丸尾 |
社歴も長いですが、これまでの経緯を簡単に教えていただけますか? |
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廣岡 |
もともとは、御前酒蔵元 辻本店の敷地で、給油所を始めたのがスタートと聞いています。旧勝山町で乗用車がまだ2台しか走っていなかった時のことです。
ガソリンスタンドをスタートし、次がガスでしたね。ガスも東真産業で提供しながら、他のガス会社と合併で拡大をしてきた経緯もあります。その次には、レンタカー事業が始まりました。レンタカー事業はその後レンタカー業界からも人材が入ってくれて一気に店舗拡大を進めて現在に至ります。 |
3関わる人に、東真産業の空気が浸透していく
丸尾 |
多岐にわたって、事業・組織を広げてこられたのですね。M&A(企業・事業の合併)などの場合、文化の違うチーム同士が合流したりなど、文化とか風土のフィットが難しそうですが。 |
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廣岡 |
驚くのは、ちゃんと「東真産業の色」になっていく感じなのです。 これがいつもすごいなと思っています。例えば、レンタカー事業のスタッフたちが本社に会議とか研修で来ることがあります。もちろん「初めまして」の人も結構いるわけですよ。でも何かすぐ打ち解け合って、「懇親会行くよ!」みたいな感じになって、盛り上がったりしているのを見ると、「すごいなぁ」と思いますね。 |
丸尾 |
それは、何かあるんですかね。そもそも広く事業を展開したり、他の組織を受け入れたりする東真産業としての器(うつわ)というか社風が。 |
廣岡 |
マニュアルとかあるわけではないんです。ただ何か「人の良さ」とか「温かさ」みたいなところが伝わっていくというのが感じるところです。 評価制度が変わったりするわけなので、そういった部分は前段階で話し合いもしているんでしょうけど。長い歴史がつくった何か見えない雰囲気みたいなものがあるのかなと思います。 |
4新卒から、お客さまに育てられたという経験
丸尾 |
廣岡さんご本人について少しお聞きします。 |
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廣岡 |
真庭市にある高校卒業後、神奈川県の横浜に行きまして大学生活を過ごしました。 その後は、新卒で石油元売りメーカーの商社に入社をし、6年間仕事をして帰ってきたという流れですね。 |
丸尾 |
新卒での就職先も今に通じるところですね。もともと戻ってくる意識があったんですか? |
廣岡 |
そうですね。そこは家族とも相談しましたけど、自分がやりたいことと、将来に向けてやるべきことの二軸で就職活動をしたんですよ。もともと都市開発とか興味があって、町づくりとかというのが好きで、そういう分野も学生時代には見ていました。 ですが、やはり東真産業に帰ることは決めていたので、石油元売りメーカーの商社方に入社しました。 |
丸尾 |
新卒入社後は、どのような業務を経験されましたか? |
廣岡 |
営業です。新入社員から3年間は、茨城県と栃木県エリアのサービスステーション(ガソリンスタンド)を運営されている企業さまに企画販売などを行なっていました。
また、サービスステーションで働かれている方の人材育成の研修をするとか、売上分析をして、その拠点が強くなるための施策を提案したりなどもしていました。現在、東真産業では私がSS部(ガソリンスタンド事業を行う部署)の部長ですけども、そういう部長に対して提案をしていく営業スタイルでした。
次に新潟県エリアを担当したんですけど、「新潟」ってその石油元売りメーカーの「発祥の地」と言われている場所なんですよ。日本の石油文明のスタートくらいな位置付けで。なのでありがたくも手厳しいお客さまを、若くから担当させてもらいました。
そこでの経験がなかったら今の自分はないと思っています。「お客さまに育てられた」「特約店の方々に育てていただいた」という想いがあるので、それを自分は「次に返してあげよう」といつも考えています。 |
丸尾 |
東真産業にもどることになったタイミングは、きっかけとなることがあったのですか? |
廣岡 |
そうですね。一番のタイミングは、創業者の祖父が亡くなったことです。亡くなったときに、私も当時新潟から飛んで帰ってきたんですけど、葬儀についた時たくさんの人が来られていたんですよ。大雨が降っていた中に、東真産業の社員の方々が駐車場の誘導とか、駐車場に入れない人の車を整える等やっている姿を見たときに、「ああ、僕もう帰ろう」と思ったんです。
4月だったんですけど、もうこれ帰らなきゃ駄目だと思って、もうその葬儀の翌日に、僕は、また新潟に帰ったんですけど、そこで上司に言いました。「来春、僕辞めます」と言って、上司も「そうだよな」となぜか理解してくれて。「お前がそう言うと思ったよ」みたいな話になって、その後、東真産業に帰ってきたという流れです。 |
丸尾 |
もともと考えていたとはいえ、大きな転機ですね。 |
廣岡 |
そうですね。そのときの東真産業の社員の方々を見て戻ろうと思いました。 |
5これからは、真庭に人を呼び込めるように
丸尾 |
廣岡さんの目線で、「東真産業のこれから」についてビジョンはありますか? |
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廣岡 |
意外といっぱいあるんですけど(笑)。 僕も、真庭のために何かやりたいという想いが強いんですが、この真庭という地域も人口は減って、生産労働人口もかなり減るのは見えているんですよね。
そこで、真庭に人を呼べる事業を起こしたり、真庭に仕事で来るみたいな、東真産業に仕事に来るみたいなライフスタイルを、東真産業がモデルになれればと思っています。そこに東真産業としての可能性もまだまだあると考えているんです。そして行政の方も含めて、取り組んでいきたいと思っています。 |
丸尾 |
最後に、廣岡さんが日頃から大切にされている言葉があれば教えてください。 |
廣岡 |
二つあるのですが、一つ目が「向き、不向きより、前向き」という言葉が好きなんですよね。前向きに取り組んでいけば、何か道は開けるんじゃないかと思っているので、常に前向きな気持ちを持ち続けるということが大切だと。
また、二つ目は前職時代の上司に言われていた言葉です。「仕事はゲームだ」ということを聞きました。ゲームはレベルアップも必要ですし、いろんな人と関わりながら自分が強くなります。
そして、変な話ですが「死ぬことはない」なと。ゲームオーバーはあるかもしれないけど。また立ち戻って自分がちゃんと準備してチャレンジすれば、クリアできるかもしれない。その気持ちを持っていたら、なんでもできるのだと思います。
僕はもうこの二つの言葉が常に頭の中にあるんです。 |
真庭を起点に、地域のライフサポートを
東真産業株式会社
「カーライフ」から「ホームライフ」まで、「地域のライフサポート企業」として様々な事業を展開。サービスステーション、カーコーティング、車検整備、レンタカー事業、保険サービス、LPガス、宅配水、家電文具販売、ぶどう農園など多岐にわたる。
お話を聞かせていただきありがとうございました!
最近ではぶどう農園など、本当に幅広く様々な事業をここ真庭地域から展開されてきている東真産業。これまでの歴史も伺っていると、創業からこれまで年月をかけて、時代の変化に対応してきた結果が、まさに今の東真産業であると感じました。新たな挑戦を当たり前に考え、さまざまな業種の人を内包する器の大きい組織風土。お話しの中にあった、「これからの真庭に人を呼び込める組織」としてもこれからも楽しみです。廣岡さんは、関東から真庭にUターンの、地方企業のあり方を変えていくかえーる人でした。
- 取材日:2023年9月8日
- 撮影地:東真産業株式会社(岡山県真庭市)