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本当に唯一無二の物にするということは、つくり手しかない。 そこに意識を向ければ、それは届けるに値する商品になる

下山さんちのお茶 

下山桂次郎

美作市

岡山県にある、下山さんちのお茶 下山桂次郎 - 岡山県北の求人情報サイト「いーなかえーる」さんに、お話を聞いてきました。

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1はじめに

丸尾

(お茶をすする)あぁ〜おいしいです。落ち着きますね~。
(落ち着いたところで)それではよろしくお願いします。
下山さんは職業というとどういった言い方になるのですか?
ウェブサイトを見させてもらうと、“茶師(ちゃし)”と書いてあります。
茶師とはどういったことをされるのですか?

下山

職業といわれるとお茶を栽培する“農業”になります。
“茶師”とは業界用語にはなるかもしれないですが、生の茶葉をお茶の乾物に仕上げる、そういった加工する人間を“茶師”と言います。

丸尾

なるほど、私たちが“お茶を入れる”あのお茶の状態にするために、生の茶葉を加工、乾燥させる人ということですね。下山さんがつくられるお茶は、どんな特徴がありますか?

下山

特徴は“普通のお茶”です。

丸尾

普通のお茶!?(驚)とはどういったお茶ですか?

下山

はい。私のこだわりは、“普通のお茶をいかに消費者の方に届けるか”です。
それは一見簡単そうですが、すごく難しい領域だと思うんです。
こだわればこだわるほど収量が減ってしまったり、こだわりが強すぎるために、価格が跳ねあがってしまい、ごく一部の人にしか届けられないようなものになってしまいます。
私ができることは、できるだけたくさんの方に、“岡山県産のお茶”を飲んでもらうってことです。だからコンセプトとして掲げてるのが“普通のお茶を”ということなんです。

2飲んでくれる方との関係性の構築、それを栽培製造に匹敵するくらい大切に

丸尾

“普通のお茶を”ですね。それでは岡山県産のお茶を飲んでいただきたい方は、例えばどんな方ですか?

下山

やっぱり若い世代ですね。“お茶離れ”といいますか、今はコンビ二で買ってキャップ開けたら飲める時代なので、それをいかにお茶の葉から出してもらうかとか、生活の中に“お茶を入れる”という行動を溶け込ませていくかがポイントになります。
そのために自分達になにができるかと言うところで、まずは若い人達にメッセージを届けていかないとダメかなと思います。

丸尾

やっぱり自分でお茶を入れると、違いがありますか?

下山

そうですね。そもそもお茶を入れている“行為”で、時がゆっくり流れますよね。それで一度自分のテンションをクールダウンできるというか、“ホッ”とするということ。
それから湯を注いで、お茶がでるまでに一分~二分かかりますから、その間に、お客様が来られてる時には対話をするとか、会話を楽しんで、コミュニケーションを深めるとか。

丸尾

アイスブレーキングのような意味ですね?

下山

そうです。もともとお茶はそういう文化なので、時間をつくってもらうことが最大の魅力であり伝えたいことなのです。

丸尾

確かに今は若い人ほど、常に何かを次々やり続けているような、過密スケジュールの中で生活してますね。スマートフォンなどもありますし。私も仕事で“忙しい、忙しい”って口癖のように言っちゃってますけど(笑)そんな今だからこそ、時間の使い方、過ごし方にスポットを当てる提案をお茶を通して行っているということですね。

下山

はい。まさにその通りです。本当に忙しい世の中ですから、その忙しい中でもこうやってお茶をいれてくれるのであれば、その時に自分のお茶が選んでもらえるようになりたいですし、それを裏切らない味を届けたいので、“消費者の方との関係性の構築”が、栽培や製造に匹敵するくらい大事なポイントだと考えています。

丸尾

私もちょっと話は違うんですけど・・・私は仕事で、中小企業の経営者の方とお話をする機会がとても多いのですが、特に時間に追われていている方が多いです。ゆっくり考える時間なんて持たれてない経営者の方ってたくさんいらっしゃるんですよね。また都会のオフィスビルとかで忙しくはたらく人なんかも、そういった時間って必要になってくるのではと感じました。

下山

どうリリースして、どう“そこの空間に存在させられるか”なんですよね。本当に。

3自分にしかできないこと、自分じゃないと勤まらない仕事

丸尾

それでは少しさかのぼって、お話をお聞かせいただきたいと思うんですけど。下山さんが、もともとお茶をやるに至った経緯は?

下山

私の祖父がお茶を植えました。そして父親がお茶畑を拡大しながら、工場を建てて大きくしました。自園自製スタイルのお茶農家が僕の実家でしたので継いだんです。

丸尾

美作市の出身で、そこから県外に出られたのですよね?

下山

はじめは名古屋に出て、アパレル企業で働いてました。

丸尾

そうだったのですね。その時は今とは別の方向を考えていたのですね。

下山

ベタなんですけど(笑)田舎者が都会に憧れる感じですよね。洋服屋をやりたかったのもあるし、その時はとにかくすぐ働きたかったんです。勉強よりも働くほうが好きだったんです(笑)高校を卒業して、すぐ洋服屋に就職しました。

丸尾

店舗のマネジメントなどをされていたのですか?

下山

ええ。本社が東京の会社だったので、私は名古屋を拠点に全国出張などもありました。
当時、全国に四十店舗以上展開している店舗だったので。

丸尾

大きな組織にいらっしゃったのですね。その後、方向を変えるきっかけがあったのですか?

下山

19歳で店長になって、その後今度エリアマネージャーの話をいただきました。
そうなると仕事は、スタッフ、お金、商品管理です。また書類の押収でもう洋服屋じゃないじゃん!って感じてしまったのです。その時、仕事は基本的なところはだれでも一緒なんだと思いました。
そんな中で、“自分にしかできないこと”、“自分じゃないと勤まらない仕事”はないのかなと考えました。
その時に家業は、息子じゃないとその居場所すら勤まらないわけですから、“ここだ”と思ったんですよ。
その時、継ぐことを決めました。そして静岡に住み込みで修行に行ったんです。

4地元に帰ってきたら、思ったより岡山弁が抜けてました(笑)

丸尾

そこで、お茶の栽培方法などを学ばれたのですね?

下山

学ぶといっても具体的にレクチャーされるわけじゃなく、もう背中見せるというものです。その人の行動を逐一メモをとって、という日々でした。

丸尾

名古屋でアパレル企業で働かれ、その後静岡で修行をされて帰ってこられました。帰ってきて最初に感じられたことはなんでしたか?

下山

思ったより自分は方言がぬけちゃってたんですよ(笑)岡山弁が。帰ってきたら、すごくみんなの話し方が怒っている感じに聞こえて(笑)

丸尾

あ~!言葉がね!(笑)

下山

ひるんじゃって、当分話せなかったです(笑)一次的に人間嫌いになりました(笑)
えらく向こうになじみすぎちゃったのかな?こんな言葉だったっけな?みたいな(笑)

丸尾

(大爆笑)そうですか。なるほど。なるほど。

下山

だから旧友とも距離が開いちゃって、すごく1人だったっす(笑)
本当に“山ごもり”じゃないですけど、もう畑に1日でて、帰ってみたいな、日々が続いていました(二人で爆笑)

5“下山さんちのお茶” = “本当にここにしかないもの”

丸尾

下山さんは岡山アワードを受賞されたりとか、お茶に関しても数々の受賞歴を拝見しました。

下山

まず、このルックスでお茶をやってるって、誰も認めてくれなかったんですよ。
本当に作っているのに、“父親が作ってるんだろ”とか、結構言われたんですよ。
悔しくて、目に見えた結果を残すしかないと思いました。
それで品評会に本気でエントリーしたんです。
元々の狙いが“自分を認めてもらうこと”だったので、徹底的に勝つことだけを考えてお茶作りに専念しました。たまの一位だと“まぐれ”で済まされてしまうので、毎年とってやろうと考えて、たまの一位を狙わずに、毎年四位以内に入ることを目標にして、十年以上入賞し続けました。そうしたら受賞の実績が買われて、おそらく岡山アワードに繋がったんだと思います。

丸尾

そういうことだったのですね。本当に今ではどこに行っても、“下山さんちのお茶”はあの手書きパッケージで、置いてあります。やっぱりブランドとして存在するためには、まず知ってもらうところからスタートだったんですね。

下山

もちろんそうですね。“下山さんちのお茶”という名前に至ったのは、基本的には、ここ岡山県美作市海田は歴史あるお茶産地です。だから海田ブランドで打ち出してもいいわけじゃないですか?岡山のお茶っていうのをブランディングするなり、美作のお茶でもいいと思います。地域の名前を出したお茶っていうのをブランディングしたかったんですよ。
そして他の生産者にも打診したんですけど、なんかリアクション悪くって「下山、元気がいいなー」くらいで終わっちゃったんですよ。なので、もういいっ!自分がブランドになればいいんだと思って、で、思いっきりストレートに商品名にしました。

丸尾

下山さんちのお茶は“本当にここにしかないもの”と言うことですね。

下山

自分の名前を名乗るが故に、商品に対してもすごく責任感がわいてきて、妥協を一切しなくなってしまい、今に至る感じです。

丸尾

どんどんブランドとしてもコンセプトが、進化しているようですね。

下山

今までは、茶業界が“定めるいいお茶”とか、“こういうお茶を作りましょう”、“こういう仕上げ方をしましょう”と言うセオリーなり、説明書のようなものにのっとって、生産者は作ってきました。しかし私がやってることは、基本的にそれを度外視していると言ってもいいくらい無視してます。といっても、うちで採れた葉っぱを可能な限り手を加えずにリリースしてるということです。

丸尾

可能な限り自然のままということですね?

下山

そうです。それがうちのスタイルです。そういうスタイルの農家さんは実はあんまりいないし、それをもっと確立していくのがいいと考えています。

6いかにさりげなく、その空間にお茶を存在させれるか?

丸尾

それでは、最後になるんですけれども、下山さんが日頃、お茶を作ることを通して、お茶を届けることを通して、大切にされていることってありますか?

下山

そうですね。大切にしているのは、商品だけに目がいかないようにというか、それを作っている人物、背景などに皆さんの意識が行くように気を付けています。
お茶っ葉は誰でも作っているんで、どこにでもありますし。それを唯一無二の物、一品物にするということは、もう作り手しかないんですよ。このあたりもたくさん作っている人はいます。自分さえしっかりしていれば、それは“届けるに値する商品”になっているんです。そこに目を向けてほしいと思います。

丸尾

私自身、今日までお茶と言ったら、味とか、産地がここだとか、それぐらいしか違いを意識したことがなかったんですけど、お聞きした視点で見ていくと自分にも身近に必要なものだと感じました。これからブランドとして、もっともっと広がっていけばいいですね!

下山

一時、本当に自分で商品を売るようになってからは、とにかく知ってもらわないと、と思って、路上で1人で試飲茶を配ったりもしました。だいぶハートもやられたんですけど(笑)色々見えてきたのはまさにその通りでした。
味だけじゃなくて、一方的に飲ませるんじゃなくて、“さりげなく存在”させておかないとだめなんだなと思ったんですよ。
それを考えていくと、今始めたばっかりなんですけど、お茶染めのデニムになったりとか、そのデニムを使ってソファになってるんです。
そういう形で空間に、茶が存在するような仕掛けを継続してやっていきたいですし、それが例えば有名な静岡とか鹿児島の産地と競合する、マイナーな岡山の唯一の手法だと思っています。それを色々な業界の方の力を借りながら、“岡山のお茶”をブランディングしていって、日本全国なり、あるいは海を渡ってもいいんで広めていけたらなと思ってるんです。

本当に唯一無二の物にするということは、つくり手しかない。 そこに意識を向ければ、それは届けるに値する商品になる

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江戸時代よりお茶作りが行われている茶産地岡山県美作市海田。
Qualitea美作(クオリティーミマサカ)は、その地で三代続く茶農家。
三代目茶師の下山桂次郎が、素朴で優しいお茶をコンセプトに手掛ける「下山さんちのお茶」は煎茶を中心に約10種類の商品を展開。
下山さんちのお茶は、自家栽培自家製造の厳選された茶葉のみを使用した本格日本茶を、アパレル、インテリアショップ、雑貨屋などで展開し、新しい形で日本茶を提案。

お話を聞かせていただきありがとうございました!お茶のパッケージを一つ一つ手書きで書かれている姿が印象的でした。下山さんは静岡から美作市にUターンのかえーる人でした。

  • 取材日:2014年10月6日
  • 撮影地:Qualitea美作
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