[Uターン・Iターン・移住]いーなかえーるは、岡山県北の求人情報をご紹介します
新庄村から世界へ。夢は、生産者にとっても幸せに繋がる仕組みを作ること。
目次
人口約1,000人の新庄村に、水路珈琲はあります。
冬。岡山県津山市から新庄村へ向けて山道を進んでいくと、次第に雪景色が広がっていきます。
かつては「コーヒー食堂レインボー」を津山市で営んでいた、竹内裕治さん。現在は新庄村を拠点に「水路珈琲」として焙煎の卸業やイベント出店などを行っています。竹内さんがコーヒーを通して描く世界とは?
春は桜、秋は紅葉、冬は雪景色と、四季折々の顔を存分に魅せる新庄村。人口約1,000人の村の中に、水路珈琲はあります。
水路珈琲の竹内裕治さんにお話を伺っていきました。
「水」を求めていたら行きついた場所、新庄村。
ー 津山市から新庄村に来られたきっかけを教えてください。
竹内さん:20歳の頃から「水」にこだわってきました。綺麗な水を求めて、遠くまで汲みに行っていましたね。お店で使うものとしてだけでなく、日常で接するものとして「水道水の水ですら美味しい」という納得のいく水を探し求めていたんです。
そんな中、たまたま雑誌で見つけた場所が新庄村でした。コンビニすらない、という辺鄙なところも含めて気に入りました。新庄村の中でも特に惚れ込んだのが、野土路です。ここは、村民の方も推すほど水道水が美味しい。訪れた瞬間に「ここだ!」と思いました。
今は、20年ほど人が住んでいなかった古民家を焙煎所兼自宅として改装している最中です。春は桜、秋は紅葉、冬は雪と、季節の変化が抜群に面白い。村民は約1,000人という小さなコミュニティなので、地域の温かさも抜群です。子供のためにも、仕事としても、プラスの要素を十分に感じています。
焙煎をする場所として使っている古民家。見つけたときは人が住める状態ではなかったそう。
数年かけてDIYを行う予定。
ー 「水路珈琲」の由来も、新庄村の水から?
竹内さん:初めて新庄村に来た時、水路の流れに感銘を受けたんです。水槽があって、鯉が泳いでいる。水路が綺麗なのが衝撃的でした。それを見てこみあげてきた気持ちを形に残しておきたかったんです。
あとは、津山で経営していた「コーヒー食堂レインボ-」は、津山の思い出として取っておきたくて。虹のように、ですね笑
津山のカフェINN-SECTで行われたワークショップの様子。
INN-SECTでは、水路珈琲で焙煎されたコーヒーを楽しむことができる。
コーヒーを飲むとき「そのコーヒー豆を作っている人」のことまで考えますか?
ー そもそも竹内さんがコーヒー豆の焙煎を始めたきっかけは?
竹内さん:自分がコーヒーをやり始めた裏テーマは「消費者から生産者まで自分で見る」です。コーヒー1杯が私たちの手に渡るまでには、コーヒー豆の収穫から生成、輸入、焙煎など、長いサイクルがあります。そのサイクルの中で、自分はどこまでやりたいのか?と考えたとき、気になったポイントが生産者でした。
最近、コーヒーは「おしゃれで高いもの」という演出が多くあります。一方で、消費者は豊かで消費量は伸びているのに、生産者側は苦しんでいる、という現実も。生産者側の現場は、何十年も改善されていません。その現実を知った時「自分は何をしたいのか?何ができるのか?」という問いが生まれてきて。独立したきっかけは、そこから始まりました。
「生産者から消費者まで、全て一括して見ていきたい。」
自分の答えはこれだったんですね。そう自覚したときに、自分ができることは消費者側の単位からだと思いました。なので、カウンター3席テーブル2席のコーヒー屋さんから始めたんです。
コーヒー屋さんの次は焙煎、次は卸、輸入、生産…というように、自分のコーヒーへの向き合い方は、消費者側から生産者までをトータルで意識しています。津山でお店を始めて、今は焙煎という次の段階にいけた。その次は、焙煎の量を増やすことだと思っています。
最終的には「コーヒーに関わる全ての人が幸せに仕事をする」ということが目標です。そのために、消費者が生産者のことを見えるようにしていきたい。すべてを1本の道として、ストーリーが見えるようにしたいですね。消費するということは、見たくないことも含めて見ることで持続させていく、というのがこれからの世の中になるのでは?と思っています。
自分の商品に魅力を持つことが、生産者側にとっても幸せなことに繋がるような仕組みを作りたい、というのが自分がコーヒーをやっていく上での夢です。
焙煎にはまったきっかけは、実は京都での出会い。
竹内さんが「心の師匠」と呼ぶ方のこだわりが、今の信条の根底に生きている。
水路珈琲での焙煎量を増やすことが第一歩。その次は、蒜山にお店を作りたい。
ー 次の目標に見据えていることなどはありますか?
竹内さん:最近、夢がもう1つできたんです。蒜山におしゃれなお店を作ること。新庄村に移住を決めた理由も、蒜山から近いということがありました。地元の一大観光スポットでもあり、注目度が高い。次のステップにもぴったりだなと考えています。
今後の展開としては、今の焙煎の事業を大きくして、蒜山に拠点を設けたいです。そこで稼いで、輸入にも参入できたら良いですね。タンカーを買って輸入事情を把握したり、グアテマラやケニア、ミャンマーで農園を作ったり、できることが広がります。
そのためにも、まずは新庄村で水路珈琲を大きくすることが第一歩。世界に繋げていけるように、大切に育てていきたいです。
津山も、自分がお店をやっていたころと比べてどんどん変わってきています。焙煎をやるコーヒー屋さんも新たにでてきました。これで、自分は安心して世界へ行けるかなと思るなと安心して見ていますね笑 世界を見た上で、どう自分の仕事に落とし込んでいくか。それが楽しみであり、目標であり、夢です。
「子供に、コーヒーのスタートからゴールまでを見せてあげたいです。」と言われる竹内さん。
ー「持続可能」というキーワードが今後ますます重要になってくる世の中で、消費者である私たちが今の便利さや「当たり前」とどう向き合っていくか、ということも問われていますよね。水から生産者側のお話まで、日々の在り方を深く考えさせられました。
本日はどうもありがとうございました!
インタビュアー 塚田エレナ