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老舗和菓子屋として、時代に合わせた「オンリーワン」を

前編株式会社くらや 代表取締役社長
稲葉伸次
株式会社くらやの稲葉さんにお話を聞きました。
#創業148年
#老舗和菓子屋
#作州・津山
#ブランド
#オンリーワン
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1創業148年を迎える「旬菓匠くらや」
丸尾 |
改めて、株式会社くらや(以下、くらや)は、どのような会社か教えていただけますか? |
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稲葉 |
「くらや」は、今年で創業148年を迎える菓子作り一筋の老舗です。幕末の頃、津山市小田中(以下、小田中)のあたりで家の軒先でお菓子を販売したのがはじまりと言われています。初代・江見総五郎が「くらや」を創業し、代々、江見家によって「くらや」は継承されてきました。 |
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丸尾 |
創業148年を迎えるとは・・!!すごい歴史ですね(驚) これまでおおくの変遷を遂げてこられたのでしょうね。 |
稲葉 |
3代目・江見盛政は、京都の老舗和菓子屋で修行し、京都の最先端の和菓子をいち早く津山に広めると同時に、新しいお菓子も次々に開発していたそうです。 その当時、大正15年に発売されたのが、やわらかなお餅の食感と柚子の香り、和三盆の上品な甘さの「松乃露(まつのつゆ)」です。このお菓子は、昭和33年に全国菓子大品評会で金賞牌を受賞しました。
昭和5年に昭和天皇陛下、昭和41年に現在の上皇陛下(当時:皇太子)に弊社のお菓子をお買い上げいただいたという記録も残っています。創業以来、毎日、職人が伝統あるお菓子を一つひとつ作りつづけています。 |
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2伝統を守り、時代に合わせたお菓子づくり
丸尾 |
稲葉社長の代では、どのような取り組みに力をいれられましたか? |
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稲葉 |
私の代では、時代に応じ、「生クリームどら焼き」をはじめ、和洋折衷の商品を新たに開発し販売開始しました。ゼリーなどのお菓子を、お客様のお好みで詰め合わせにできるようにもしています。
また近年、お客様の食の安心・安全を守るため、梱包にも注力しています。商品の日持ちや安全性を高めることにも注力しました。
今まで当たり前にやってきたことを見直し、昔ながらの伝統を守った風情を残しつつ、今の時代に合わせたお菓子づくりを意識しています。
先代が木に彫り物までして残しているのが、「店は気分、菓子は味」という言葉です。お店の雰囲気や内装、接客の質などがお客様の気分を高め、菓子はその味でお客様に満足感を与えるという関係を表す言葉です。
そして先代は、お菓子づくりの修行も力を入れており、工芸菓子なども多く手がけていました。岡山県菓子工業組合にも加入し、大阪あたりにまで菓子づくりを教えに行くほど活躍していたと言われています。
私も「お菓子の質」にこだわり「伝統を守り」つつ、「お客様のニーズに敏感に」反応したお店づくりや商品開発を手がけたいと思っています。 |
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3ブランド作りや流通を肌で体験した資生堂時代
丸尾 |
稲葉さんが、5代目を引き継いだ経緯を教えていただけますか? |
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稲葉 |
私は津山生まれで高校まで津山で育ち、大学進学で東京に行きました。その後、実家が化粧品販売店を営んでおりましたので、その影響で、化粧品メーカーの資生堂に入社しました。
ゆくゆくは実家のお店を継ぐことも考えて、平成元年に津山にUターンしましたが、その時に遠縁にあたる「くらや」の先代からお声がかかり、平成元年の9月に「くらや」に入社することになりました。
最初はお手伝いのような形で入社したはずが、平成7年に私が5代目を引き継ぐことになりました。31歳のときに入社し、38歳で社長を継承したことになります。 |
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丸尾 |
ちなみに資生堂時代には、どのようなお仕事をされていましたか? |
稲葉 |
岐阜に配属され、チェーン店やデパート量販店を担当する営業の仕事を7年ほどしておりました。デパートの売場確保に奔走したり、毎日2、3件のコンビニエンスストアに化粧品を持って訪問したり、東京や名古屋で行われる本部の会議に参加したりと、忙しくも楽しい毎日でした。
資生堂での仕事を通じて、「ブランド作り」や「流通」などを肌で体験でき、本当によい勉強をさせていただいたと思っています。 |
丸尾 |
資生堂を退職されて、津山にUターンされたのですか? |
稲葉 |
津山に戻る前に、資生堂時代にお世話になった方から「名古屋にアウトドアアパレルブランドの店舗を立ち上げるから、手伝ってほしい!」とお声がけいただき、採算が取れるまでの約2年間事業の立ち上げをお手伝いしました。
テレビ局に売り込みにいったり、雑誌社に宣伝の依頼に行ったりと奔走しました。2年で採算が取れるようになったので、津山にUターンしました。津山に帰ってきてからは、先ほどお話ししたとおりです。
現在は、「くらや」の代表と兼務して、実家の「イナバ化粧品店」の代表もさせていただいております。 |
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4「旬菓匠くらや 総本店」と「五大北天まんじゅう つゝや」
丸尾 |
今後、「くらや」は、どんなことに注力されるのでしょう? |
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稲葉 |
これまで「くらや」は、良質な味や、商品の種類に価値を感じていただいていたと感じており、和菓子ではギフト向け商品を主に取り扱いしてまいりました。
近年は、もっと気軽に「くらや」のお菓子を召し上がっていただきたいと思い、毎日でも食べられるお菓子づくりを意識しています。特に「どら焼き」に注力しており、昨年は工場の半分ほどを占めるどら焼き専用の機械を導入するなど、製造体制を強化しました。
また、「くらや」の店舗はこれまでに最大で5店舗あったのですが、現在は津山市沼の「旬菓匠くらや 総本店」の1店舗だけで営業しています。少数精鋭で、伝統ある和菓子の質を高めたいと思っています。 |
丸尾 |
2024年に、津山の銘菓「五大北天まんじゅう」で知られる「つゝや」さんの製造販売を受け継がれていますよね? |
稲葉 |
はい。休業されていた1996年創業の津山市小原にある「つゝや」さんの「五大北天まんじゅう」を、ご縁があり受け継がせていただきました。現在は、津山市沼にある「旬菓匠くらや総本店」と津山市小原の「つゝや」の2店舗に注力している状況です。 |
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5「買いにきていただける」お店づくり・商品づくりを
丸尾 |
これからの時代「くらや」は、どのような存在になっていきたいですか? |
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稲葉 |
そうですね。私の好きな言葉に、「桃李もの言わざれども 下自ら蹊を成す[とうり ものいわざれども したおのずからみちをなす]」(出典:『史記』)があります。 「桃などの果物は、山の中にひっそりと実をつけるだけなのだけど、それが美味しいと知った人は自ら取りに山に入り、そして山に道がつくられる」という、何千年も前からのことわざです。私は、今の時代における商売も同じなのではないかな、と感じています。
これまでは「市場での売上げをいかに拡大していくか」が重要視されていたように思うのですが、これからは「いかにオンリーワンになるか」が大事なのでないかなと感じています。「売りに出ていく」のではなく、「買いにきていただける」お店づくり・商品づくりを目指したいと思っています。
津山の伝統ある和菓子屋だからこそ、時代の流れに合わせた「オンリーワン」をしっかり築いていきたいですね。 |
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丸尾 |
「津山地域のオンリーワン」として、現在注目されているものはありますか? |
稲葉 |
津山産小麦ですね。津山近郊で育てた小麦を、津山で製粉し、津山で消費しているんです。生産から消費まで地元で一貫しているのは全国的に見ても珍しいらしく、農林水産省からも注目されているそうです。
お菓子にパン、麺にお好み焼きと幅広く使え、学校給食でも使われているようです。もっと津山産小麦を盛り上げていっても面白いんじゃないかなと思っています。 |
丸尾 |
では最後に、稲葉さんが大切にされている言葉を教えてください。 |
稲葉 |
「日日是好日」です。毎日を大切に、日々楽しくコツコツと頑張りたいと思っています。 大きなものを見れば見るほど、辛くしんどくなる場合が多いので、あまり上を見過ぎずに、できることを積み重ね、今を大切に一生懸命生きたいです。そうやって、ここにしかないオンリーワンを築き、津山の発展の一助となることができればいいなと思っています。 |
老舗和菓子屋として、時代に合わせた「オンリーワン」を
株式会社くらや
創業以来140年以上築いてきた伝統を大切に守り、老舗企業として代表銘菓「いちま」や「衆楽雅藻」をはじめ、いちご大福やどら焼き、ワッフルなど多彩なお菓子を製造・販売。地元津山で長年愛され続ける、伝統と革新を大切にする和菓子店。
お話を聞かせていただきありがとうございました!老舗菓子店としてのこれまでの変遷や取り組んでこられたことなどをお聞きし、創業148年を迎えられることの偉大さを感じました。これまでそしてこれからも変化に対応していく。稲葉社長から言われた、「時代に合わせオンリーワンに」という言葉にとても感銘を受けました。
人気ロックバンドB’zのボーカリスト稲葉浩志さんのお兄様であり、幼少期には聴いていたレコードの数々で影響をあたえたという逸話もお聞きしました。私もB’zファンであり、津山高校出身ということでとても興奮するお話が聞けました!
また「五大北天まんじゅう」の「つゝや」の事業を、引き継がれている点もとても興味深くお話聞かせていただきました。こちらは別の記事としてお届けします。
稲葉社長は、東京、岐阜、名古屋からUターンの、お菓子業界を変えるかえーる人でした。
▼後編はこちら
津山銘菓「五大北天まんじゅう」を受け継ぐ
- 取材日:2025年4月10日
- 撮影地:株式会社くらや(岡山県津山市)
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