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全国区で2度のグランプリ。「料理」で津山地域に貢献したい。

美作大学4年生 

牧原 直太朗

津山市

 

美作大学4年生の牧原直太朗さんにお話を聞きました。

 

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管理栄養士の国家試験に向け、美作大学で学ぶ

丸尾

テレビ番組にも出演されて「黄ニラ香る贅沢おかやまばら寿司」の調理をされていましたね。

また、全国区の大会でグランプリを受賞されたりと、大学生ながらに大活躍されています。まずは美作大学でどんな勉強をされているのか教えてください。

牧原

美作大学の生活科学部食物学科に在籍しています。

大学の講義では、調理学などのいわゆる「料理」はもちろんなのですが、食品に含まれる栄養素についての「栄養学」から始まり、「解剖生理学」なども学びます。

 

身体の構造や疾病の種類、服用される薬の名前、血液検査値なども覚え、病院や福祉施設などで必要となる栄養ケアマネジメントも習得します。

 

来年度、管理栄養士の国家試験があるので、専門性の高い知識と実践的な能力を身につけるため日々勉強しているところです。

全国区のコンテストでグランプリを受賞

丸尾

大学の講義もしっかり受けられている中、2022年11月(当時2年生)に、株式会社タニタが主催する「第5回ご当地タニタごはんコンテスト」で、全国グランプリを受賞されていますね!

牧原

僕を含む3名(美作大学食物学科・住吉友香助手、同当時2年生・村上柚花さん)のチームで出場しました。全国で84チームが参加し、「タニタが考える健康的な食事」の基準に合わせ、郷土料理を現代風にアレンジすることがテーマです。

 

岡山の郷土料理と言えば「ばら寿司」だと思い、黄ニラなど岡山の特産品をふんだんに使用しました。ただ、ばら寿司は酢飯に塩が入っていたり具材も塩漬けのものが使われていたりと、減塩に苦戦しました。

丸尾

コンテストの様子も拝見したのですが、審査員の方も「感激した!」と絶賛されていましたね。

牧原

地元の伝統を活かしながら現代風にアレンジした点を高く評価いただきました。「ばら寿司」の他にも「桃太郎トマトの淡雪かん」も作り、それは郷土料理ではないのですが、岡山の特産品を使用した新しい料理という点も評価されました。

丸尾

コンテストにはどのような方が出場されていたんですか?

牧原

実は学生はほぼいなくて。病院で勤務されている管理栄養士チームも参加されていました。

丸尾

めちゃくちゃハイレベルですね! グランプリを受賞されてどうでしたか?

牧原

受賞後は、みんなから「まさか優勝すると思ってなかった」と言われました(笑)。でも僕は、どこからか分からないですけど自信満々で。

 

表彰式で、特別賞、3位、2位……と順番に呼ばれていくんですけど「2位までに呼ばないでくれ!」と心の中で思っていました。最後に自分のチーム名が呼ばれた時は、思わず「よしっ」って声が出ましたね。

丸尾

津山東高校の食物調理科時代にも「第29回全国産業教育フェア新潟大会―さんフェア新潟2019―全国高校生クッキングコンテスト」で金賞(文部科学大臣賞)を受賞されていますね。

牧原

高校2年生の時です。そのコンテストはペアで出場しました。東京オリンピック2020の開催が間近だったので、テーマが「外国からのお客様のためのランチ」でした。実は、その時も「ばら寿司」のアレンジでした。「ばら寿司」しかないんかい!って言われそうですけど(笑)。

丸尾

その時はどのようなコンセプトだったのですか?

牧原

江戸時代のことですが、「食膳は一汁一菜にせよ」という倹約令が出されたそうなんです。それでもばら寿司を食べたい岡山の人は、ご飯の下に具材を隠して食べたという話からヒントを得まして。

 

透明な器の底に具材を敷き詰めて、その上に白いご飯を乗せたんです。配膳した時点では透明の器に入った、ただの白いご飯。それをひっくり返すと、エビや塩サバや錦糸卵などが華やかに敷き詰められたばら寿司が登場する。「岡山づくしsurprise御膳」という名前のお弁当を作りました。

白いご飯の部分をひっくり返すと、エビや塩サバや錦糸卵などが現れる
丸尾

それは見た目にも、おもしろいですね!

牧原

このコンテストは50分で3人前の松花堂弁当を作るという条件があったんです。コンテスト前に学校で何回も何回も練習したんですけど、時間内にできたことがなかったんです。

 

不安なまま本番に出場して、本番で初めて50分ぴったりに完成させることができました。料理が完成した後のプレゼンで、器をひっくり返した瞬間に「おー!」と会場が盛り上がりました。

丸尾

どんな料理を作るかアイデアを出すのは、大変ではないんですか?

牧原

アイデアを考える時間はとても楽しいですね。「こうしてみようかな?」と考え出したらずっと考えてしまって、授業中も考えてしまうくらいです(笑)。

美作大学調理師会の発足。部員数も増え、地域との連携も強化

丸尾

2022年には「美作の国“美味し国”プロジェクト」でもレシピ認定されていますね。

牧原

大学2年生の時にペアで出場しました。そのプロジェクトは、美作地域の特産品を使用したレシピを開発するというものでした。

 

奈義町の里芋を裏ごしし甘辛く炊いたそずり肉を入れたクリームコロッケや、真庭市勝山の山芋「銀沫」を津山市の特産のしょうがを混ぜ込んだご飯で包んだとろろご飯。「みまさかイイトコどりワンプレート」を考案しました。

丸尾

この時のグループ名が「美作大学調理師会」となっていますが?

牧原

申込時にグループ名がいると言われ、2人とも調理師免許を持っていたので急遽「美作大学調理師会」と名付けました(笑)。

 

その時はたった2人のグループだったのですが、現在は、部員数が20~25名ほどに増えています。今まではサークルだったのですが、活動実績が認められ今年度からクラブに昇格しました。

 

美作大学は、調理師免許を所有している生徒が多くいるので、みんなでわいわい楽しみながら料理のスキルアップにつながったらいいなと思い活動しています。

丸尾

美作大学調理師会としては、現在どのような活動をされているのでしょうか?

牧原

今年度の活動の一つとして、今年の秋に岡山県北で開催される「森の芸術祭 晴れの国・岡山」で販売するスイーツを、津山市の芸術家・太田三郎さんと津山市の老舗和菓子店「くらや」さんと共同開発しています。

 

小学生に料理教室をしたり、オープンキャンパスで配るお弁当作りを担当したり、地域住民に月に一回地元食材を使用したオリジナル料理を提供する「月一ランチ」を開催したりしました。大学の学生食堂で150食の津山和牛のローストビーフ丼を提供したこともあります。

先進的な設備が備えられた、美作大学の調理室

料理を好きになったきっかけは、おばあちゃんと作った卵焼き

丸尾

料理を好きになったきっかけは、あるのでしょうか?

牧原

料理を初めてしたのは、小学3年生の頃でした。父方の実家が旅館を経営していて、泊まりに行った時におばあちゃんと一緒に朝ごはんの卵焼きを作ったんです。歳の近いいとこと一緒に作るのが、ただただ楽しくて。

 

何でもかんでも卵をつけて焼いていました。そこから、テレビの料理番組を真似して作るようになって。ちゃんと形になるのが嬉しくて、いろいろな料理に挑戦しました。

丸尾

小学生の時は、どんなお子さんでしたか?

牧原

発表会の劇で小道具を作ることや絵を描くことなど、自分で何かを作るのが好きでした。「友達の誕生日会をしよう!」とイベントの企画をするのも好きでしたね。

 

書道やそろばんの習い事をしたり、クラブチームで野球もしていましたが、勉強は大嫌いでした。宿題も嫌いでしたし、決して、真面目ではなかったと思います(笑)。

津山に美作大学があるから、料理を中心に地域と繋がれる

丸尾

生まれてからずっと過ごしている地元・津山に対する思いを教えていだけますか?

牧原

みんなで「お肉の町」を推していて、元気がある楽しい町だと思っています。津山の良さを活かすために、地元の食材を使うことで地域に貢献したい。

 

僕にとっては、津山に美作大学があるというのが非常に大きくて。

美作大学は、県外から入学してくる人が約7割を占めているんです。大学にいるだけで県外の色んな価値観を持った人と出会えます。なので、津山のよさを認識することができる。

 

また僕は、高校生の時も毎日コック服を着ていたぐらい料理が好きなので、先進的な設備の調理室がある美作大学が津山にあって本当によかったと思っています。

丸尾

これから、どんなことにチャレンジしていきたいですか?

牧原

伝統を活かした料理を作ったり人に楽しんでもらえる場を作ったり、地域と連携して新しい何かを作りたいなと思っています。

全国区で2度のグランプリ。「料理」で津山地域に貢献したい。

美作大学4年生 牧原直太朗

2002年、津山市生まれ。岡山県立津山東高校食物調理科卒業後、美作大学生活科学部食物学科に入学。高校生2年生時、「第29回全国産業教育フェア新潟大会―さんフェア新潟2019―全国高校生クッキングコンテスト」で金賞(文部科学大臣賞)を受賞。大学2年生時、「第5回ご当地タニタごはんコンテスト(主催:株式会社タニタ)」でグランプリを受賞。好きなことは、料理と野球と相撲。

お話を聞かせていただきありがとうございました!!料理を軸にして、他の学生も巻き込みながら、地域と繋がっていく牧原さんの取り組みはすばらしく、お話を通じて大変刺激をもらいました。また、美作大学の先進設備を備えた調理室なども案内いただき、津山地域にこのような学べる場所があることを誇りに感じ、ここから地域食材を活用した面白い取り組みがどんどん生まれることに期待が膨らみました。

牧原さんは、料理を通じて地域を変えるかえーる人でした。

 

  • 取材日:2024年7月25日
  • 撮影地:美作大学(岡山県津山市)
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