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アイデアと技術力で、ものづくり現場に最適な設備を

エイ・テイ・シイ株式会社 代表取締役

青山 路彦

奈義町

エイ・テイ・シイ株式会社の代表取締役 青山 路彦さんにお話を聞きました。

 

#アイデアと技術力

#製造現場の自動化

#事業承継

#働きやすい環境整備

#ものづくりの面白さ

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工作機械周辺装置の設計から導入まで一貫して提供

丸尾

エイ・テイ・シイについて教えていただけますか?

青山

工作機械の周辺装置の設計や製作をしています。ATC(自動工具交換)装置、APC(自動パレット交換)装置、ガントリーローダー、そして多関節ロボットによる自動化が柱です。全装置を合わせると3,000台以上の納入実績があります。約3,000台すべての仕様が違うと言ってもいいぐらい、1台1台に技術とアイデアを詰め込んだ装置を製造しています。

丸尾

お客さまは、どのようなところになりますか?また、強みなども教えてください。

青山

取引先は国内各地の「工作機械メーカー」です。設計、組立から試運転に至るまで、導入まで一貫して自社でできるところも強みですね。ちなみに、国内だと競合は数えるほどしかありません。とてもニッチな業界です。

丸尾

ATC装置やAPC装置とは、簡単に言うとどのような機械なのでしょうか?

青山

ものづくりを、料理に例えるとします。例えば、料理をするときは、「まな板」があって、「食材」があって、それを切るための「包丁」がありますよね。

 

それに例えるならATC装置は包丁(ツール)を自動で交換してくれる装置で、APC装置は食材が乗っているまな板(パレット)を交換するイメージですね。そして、ガントリーローダーや多関節ロボットは、食材そのものを交換してくれる装置です。

丸尾

なるほど!料理に例えると分かりやすいですね! 工作機械周辺装置の自動化の需要や製品に求められる機能は従来に比べると変化していますでしょうか。

青山

昨今は人手不足、生産性向上など様々な理由で自動化の需要が更に高まってきています。

例えばATCはほぼ100%、APCでも多くの工作機械に搭載されていますが、より複雑なことができるように要求される仕様が変化しています。

ガントリーローダーや多関節ロボットによる自動化も昨今かなり増えていますね。

丸尾

創業から現在に至るまでの経緯を簡単にお話しいただけますか?

青山

もともと久米郡の小さな倉庫でエンジニアリング活動をスタートし、翌年の1987年にエイ・テイ・シイ株式会社を立ち上げてATC装置の設計・製作を始めました。

 

会社名はATC装置の「ATC」と同じですが、実は「Advanced Technology & Creative to The 21st.Century(21世紀に向けて最新技術で創造)」という思いが込められています。

 

2000年頃業務拡大のために本社や工場を、ここ奈義町に移し、その頃の製品はATCとAPCくらいでしたが、時代の変化に対応しながら、ガントリーローダーや多関節ロボットにも領域を広げてきました。

新卒で工作機械メーカーのソリューション営業を経験

丸尾

続いて、青山社長ご自身についてお聞かせください。

青山

生まれは美作市です。高校は津山工業高校の機械科に入り、卒業後は大阪にある大学の工学部で機械工学を学びました。

 

大学卒業後はそのまま関西で工作機械メーカーに就職しました。その頃は会社を継ぐ確信はなく、「いずれはそうなるのかな・・」くらいの気持ちでしたね。

 

就職先ではソリューション営業課に配属されました。お客様の困りごとを聞きながらオーダーメイド製品を提案する仕事で、今と近いことをやっていました。がむしゃらに働く毎日でしたが、お客様から直接課題を聞けるのはすごく良い経験でしたね。

丸尾

その後、どのような経緯でこちらに戻ってこられたんですか?

青山

2017年に福岡に転勤し、既成製品の営業担当をすることになったんです。でも、それまでやっていた提案型の営業に比べると自分としては物足りなく感じていたところでした。

 

当時28歳で、この先どうしようかなとふと考えた瞬間があり、経営者って刺激的で面白そうだなと思ったんです。その会社に残って海外駐在という選択肢もあり、魅力的ではありましたが、最終的には経営者の道を選び、2018年の3月に帰郷しました。

 

入社後はひたすら営業に取り組みました。それまでの経験により業界の知識は一通りあったので、新規開拓に力を入れました。

 

私が戻ってきた時点から事業承継の準備を進めていき2022年に代表に就任しました。

 

経営者視点で職場環境についても考えるように

丸尾

前職時代やエイ・テイ・シイ入社後、そして代表就任後で変化したことはありますか?

青山

経営者としての視点で考えるようになりました。前職の頃は、とにかく受注や売上のことばかり考えていました。現在は売上だけではなく、職場環境や各従業員の仕事の配分など、周りを見渡すような意識を持つようになりました。

丸尾

従業員にはベテランの方もたくさんいらっしゃいますよね。その辺りはどのようにマネジメントされていますか?

青山

頼らせてもらいながら、「こんなことをしたいから、力を貸してくれませんか?」と相談させてもらったりしています。お互いに信頼してもらえる関係づくりを常に心がけています。

丸尾

働きやすい職場環境に向け、最近では具体的にどのようなことに取り組まれていますか?

青山

2024年4月から、年間休日を112日から115日まで増やします。また、1日単位だった有休を半日ずつ取れるようにし、仕事とプライベートを両立しやすい環境を整えています。

日本のものづくりを盛り上げていきたい

丸尾

良い仕事をしていく上でもそういう環境づくりは大事ですよね。次に、これから会社として目指すビジョンがあったら、教えてください。

青山

多関節ロボット関連の事業をどんどん拡大し、日本だけでなく世界中の工場の自動化に貢献できるものづくりをしていきたいですね。先日、海外の企業からも相談メールが来たんですよ。まだ受注までには至っていませんが、伸び代は大きいと思います。

 

また、納入したエンドユーザーに「ありがとう!」と言ってもらえる装置メーカーになりたいです。「ありがとう」が受注額や利益に変われば、従業員の給料などにも還元できますから。

そして、弊社に入ってくれた若い人たちが日本のものづくりに興味を持ち、自分たちの力でそれを盛り上げていこうと思えるような会社になれたらいいなと思います。

アイデアが形になる面白さはたまらない

丸尾

青山社長から見て、エイ・テイ・シイの仕事の面白さとは何でしょう?

青山

やっぱり「自分のアイデアで、ものづくりができる」ところかと。それが一番のやりがいであり、面白いところです。自分が提案したものが形になり、実際に動き出した時なんか、たまりませんよ(笑)。

 

以前、新規で営業したお客様の課題をもとに技術担当者と相談し、あるアイデアを提案したことがありました。これが見事にクリティカルヒットし、受注台数があれよあれよと増えていきました。まさしく営業と技術がかみ合った良い経験でしたね。

丸尾

最後に、青山社長が日頃から大切にされている考えや言葉をお聞かせください。

青山

一つはありきたりですが「感謝」です。僕一人では何もできないんですよね。それぞれのスペシャリストがいて、チームになって初めてものづくりができるわけです。

 

もう一つは、探求心とか好奇心が人を育てると思っています。そういう気持ちがないと、仕事もプライベートも楽しめないですよね。新しいことも古いことも区別なくアンテナを張り、さまざまなことに興味を持てることが大事なんだと思います。そんな風に楽しんでいるうちに、思いがけず仕事につながることもあるかもしれません。

アイデアと技術力で、ものづくり現場に最適な設備を

 

エイ・テイ・シイ株式会社

1987年設立。ATC(自動工具交換)装置やAPC(自動パレット交換)装置など、工作機械の周辺装置を主力製品とするメーカー。最新技術とこれまで培った経験とノウハウを融合し、顧客の課題に寄り添った製品を提案することで、多様な産業のものづくりを支える。

お話を聞かせていただきありがとうございました!!

工場の中もご案内いただき、製品たちを目の当たりにして、顧客の課題を解決するアイデア力に感動しました。

工作機械メーカーでの若手の頃からの提案型営業の経験も活かして新たな顧客を開拓されており、独立系メーカーとしての営業力にも感銘を受けました。お話の始終ものづくりへの想いを強く感じました。またエイ・テイ・シイは那岐山の麓に位置し、自然に囲まれたとても良い環境でした!青山さんは、大阪からUターンで、全国、世界のものづくり現場を変えていくかえーる人でした。

 

  • 取材日:2024年2月26日
  • 撮影地:エイ・テイ・シイ株式会社(岡山県奈義町)
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