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スマート農機で、持続可能な農業を

福田農機株式会社 代表取締役社長

福田 順也

鏡野町

福田農機株式会社の代表取締役社長 福田順也さんにお話を聞きました。

 

#スマート農業

#ドローンの産業活用

#中山間地域の課題

#持続可能な農業

#環境変化に対応

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「スマート農業」で農業者をサポート

丸尾

福田農機さんは2023年で創業100周年を迎えられましたが、改めてどのような会社か教えてください。

福田

農業機械の販売や開発が主軸です。もともとは、「足踏み脱穀機」から始まり、現在は「スマート農機」を取り扱っています。

 

今は農業者の減少に伴い、1人あたり多くの農地を管理しないといけない時代です。それを今まで通りの方法でやっていくのは無理があります。そこで、ドローンやGPSなどの先端技術を使ったスマート農機により、農業規模の拡大をサポートしています。

 

農業用ドローンなどを製造・販売するファームスカイテクノロジーズという会社も経営していましたが、3年ほど前に合併。現在は福田農機のスマート農業部門という位置づけです。

 

この他、福祉事業としてグループホームも運営しています。

農業用ドローンのパイオニア的存在

丸尾

福田農機ではドローンの教習所も開かれていますね。

福田

始めてからもう10年近くになりますね。そもそもは、独自の農業用ドローンを開発しようと試作ドローンを作ってみたのが始まりでした。ドローンを実際に操縦してみるとこれがなかなか難しいんですよ。そこで、そもそもドローンにも自動車学校のような教習所が必要だと考えてドローン教習を始めたら、国もだんだんとその方針になってきたという流れですね。

丸尾

ドローン教習所では、どのような免許が取得できるのですか?

福田

空撮用のライセンスの他、農業用のライセンスを取得できます。国家ライセンス向けのカリキュラムも2023年12月ごろから本格的に始動します。試験は学科と実技があり、実技は会社のすぐ裏にある飛行練習場を使用して訓練します。

丸尾

教習を受けに来られるのは、どういう方々ですか?

福田

農業法人の若い方たちが多いですね。あとは個人の農家さんもいます。最近は農業に限らず、ドローンを使ったビジネスを立ち上げようとしている方が受けに来る例も増えていますよ。

 

教習期間は5日間にわたるので、無料宿泊所も完備しています。これまで、北は北海道、南は大分県までさまざまな地域の人が受けに来ました。

丸尾

現在は既成ドローン用アタッチメントを開発して、いろいろな用途のドローンを開発されているのですよね?

福田

ドローンはどんなアタッチメントを付けるかで全く違う機械になります。独自の部品を作るために、3Dプリンターなどを活用しています。

 

最近開発しているのは、ドローンに装着して30キロぐらいの荷物を持ち上げて運べる物件投下装置です。従来、山の上の方に植える苗木などは、1日2時間くらいかけて人間が背負って運んでいました。これを使うとかなり省力化できます。

 

毎年、1年の間に現場で拾い上げたニーズや課題をもとに、ちょうど稲刈りの時期に商品化するサイクルなんです。農家さんがみんな稲刈りをしているので、実は、私たちは一番暇な時期なんですよ(笑)。

足踏み脱穀機から、スマート農機へ

丸尾

創業100周年を迎えたということで、ここに至るまでの会社の変遷についてお聞かせいただけますか?

福田

創業は1923年(大正12年)で、当時は人力で動かす「足踏み脱穀機」から始まりました。それ以降、時代の変化に合わせて農機や農業資材を提供してきました。

 

スマート農機の変革が進んだのはここ10年ほどですね。現在はGPSのようなインフラも整備され、誰でも使えるような一般的な技術になってきました。

丸尾

トラクターの自動運転なども今は当たり前になってきているそうですね。

福田

それもここ1、2年ですね。昔の人工衛星だけだと20センチほどの誤差があったんですが、現在は誤差2センチほどまで精度が上がりました。人間が運転するよりもよほど正確ですよ。

 

日本の農家さんって、狭い農地でも生産性を上げていくために、人手がない中でも高精度の作業をしたいわけですね。そこでこのような機械を使うことで、誰でも一定のレベルのことができるようになります。

Uターン後、福祉業界をへて福田農機へ

丸尾

福田社長ご自身について、お聞きしてもよろしいでしょうか?

福田

鏡野町で生まれ、高校を卒業後は大阪にある専門学校に進学しました。

その後地元に帰ってきて、福祉関係の職に就きました。4年ほどそこに勤めましたが、やはり農機具の仕事に携わりたい気持ちが強くなり、先代である父親に相談してこちらに戻りました。

丸尾

福祉関係の仕事で働かれていた経験がきっかけとなり、現在されているグループホーム運営にもつながるわけですね。

福田

そうですね。ちょうど私が福田農機に就職しようという頃に介護保険制度が始まるなど、福祉の業界も大きな変化を迎えていました。この辺りには高齢の農家さんも多いにも関わらず、グループホームのような施設はありませんでした。そこで、うちが施設を作りましょうとなったわけです。

丸尾

その後、社長に就任されたのはいつ頃だったんですか?

福田

私が40歳のときです。福田農機で働き始めて15年ぐらい経ってからですね。

 

父親がまだ元気で、いろいろなノウハウを教えてもらえるうちに、代替わりした方がいいだろうということで、なるべく早いうちに継承しました。

中山間地域でも持続可能な農業を

丸尾

福田社長は農業界に対してどのような課題を感じていらっしゃいますか?

福田

やはり農業単体でビジネスとして成り立たないと、農業は続かないと思っています。

 

条件のよい広大な地域だけでなく、ここのような中山間地でもドローンなどのスマート農業をうまく取り入れていくのが重要だと思っています。そうすることで、小さな田舎でも持続可能な農業を実現したいという思いは常にありますね。

丸尾

やはり、どうしようもなくなって農業をやめてしまう方もいらっしゃいますよね。

福田

はい。今まで通りの農業をやっていると、やはり限界が来ます。

 

例えば、進めていることとして、田植えに代わる手段として「ドローンからの直播き(じかまき)」があります。水田の代かき(しろかき)をして、次の日にドローンの自動飛行で種もみを直接まくだけでいいんですよ。

 

肥料をまくのも、今までは人間が重い肥料散布機を背負ってやっていましたが、今はドローンの自動操縦でできるようになりました。

 

最近だと、特殊な波長を測定できるマルチスペクトルカメラを使えば、肥料がよく効いている場所や足りていない場所が一目で分かるんです。そのデータを飛ばすことで、肥料のないところだけ自動でまいていくことができる仕組みです。

 

このような技術を組み合わせていけば、農業でも十分利益を上げることもできます。

変化に対応できる者が生き残る

丸尾

福田農機としての今後のビジョンをお聞かせいただけますか?

福田

農業だけでなく林業や漁業もひっくるめた一次産業全体に特化させ、この分野では日本でどこにも負けない会社にしたいですね。

 

現在は世界中がインターネットでつながり、輸出などの面でもグローバル化が進んでいる時代です。今後は世界を相手に戦っていく必要があります。

 

これまで日本の一次産業は、例えば減反政策のような制度によってずっと守られてきました。しかし、世界を相手取るなら、画期的な技術を利用した効率化をどんどん進めていかないと勝負できなくなってしまいます。

 

とはいえ、日本は島国なので、輸入も輸出もしにくいです。だから日本独自のスタイルが必ず確立されてくると思います。スマート農業を活用して農薬を減らしていくような手法なども考えられますね。アイデア次第でやれることはたくさんあると思います。

水産業向けに開発したドローン
丸尾

最後に、福田社長が日頃から大切にされている言葉や考え方はありますか?

福田

ダーウィンが進化論で述べた「変化に対応できる者だけが生き残る」という考え方ですね。

 

強い者が生き残るならティラノサウルスがいるはずですが、今は1頭もいません。環境はどんどん変化してきているので、それに対応していける人や会社にしていく。それを一番大事にしています。

スマート農機で、持続可能な農業を

 

福田農機株式会社

最先端の技術を活用して農業の効率化をサポートするスマート農機をメインに、さまざまな農業機械や農業資材を取り扱う。ドローンの開発・販売や教習にも注力。この他、グループホーム「福福」を運営する。

お話を聞かせていただきありがとうございました!

3Dプリンタやカスタマイズされたドローン、スマート農機などが並ぶとてもワクワクする場所でした。これから持続可能な農業を行なっていくためには、まさにこういった発想と、先端技術を組み合わせていく必要があるのだと感じました。福田社長の「農業だけでなく林業や漁業もひっくるめた一次産業全体において、どこにも負けない会社を目指す」という言葉をお聞きし、ローカルから面白い事業が生まれ広がっていく勢いを感じました。

福田社長は、大阪からUターンの、クリエイティブ発想と、最新テクノロジーで農業をはじめ一次産業を変えていくかえーる人でした。

 

  • 取材日:2023年9月26日
  • 撮影地:福田農機株式会社(岡山県苫田郡鏡野町)
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